驚異の日本記録約30秒更新 新谷、五輪へ 「みなさんの助け舟になれたら」

引用元:毎日新聞
驚異の日本記録約30秒更新 新谷、五輪へ 「みなさんの助け舟になれたら」

 東京オリンピック代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権長距離種目は4日、大阪市のヤンマースタジアム長居で女子1万メートルが行われ、新谷仁美(積水化学)が30分20秒44の日本新記録で優勝し、代表に決まった。新谷は今大会前に同五輪参加標準記録(31分25秒00)を突破しており、優勝すれば代表に決定する条件だった。

【表彰式で笑顔を見せる新谷】

 フィニッシュすると、両手を膝につき、まもなく両腕を突き上げた。女子1万メートルは32歳の新谷が別次元の走りで圧勝。周回遅れにならなかったのは、2位に入った東京五輪マラソン代表の一山麻緒(ワコール)だけ。従来の日本記録を30秒近く塗り替える驚異的なタイムだった。

 2000メートル手前でスピードを上げて一山と一騎打ちとなり、3000メートル手前で一山も突き放した。あとは一人旅。それでも1000メートルを3分数秒で刻んだペースはまったく乱れない。視線の先は世界と戦うことだけ。そのパスポートと位置づけた日本新記録を達成した。

 初出場した12年ロンドン五輪後、走ると右かかとに痛みが走り、右足底筋膜炎と診断された。医師からは「手術をしても治るか五分五分」と告げられ、13年世界選手権1万メートルで5位入賞したものの世界トップとの差を感じ、14年に25歳で引退した。

 一般企業で働いた後、「陸上ならば頂点を取るやり方が分かる。今の仕事より収入もたくさんもらえる」と、18年から本格的に練習を再開。かつては一人で練習メニュー作りなどを抱え込んでいたが、復帰後はロンドン五輪男子800メートル代表の横田真人コーチ(33)を頼り、練習メニュー作りも任せた。ウエートトレーニングや栄養面のサポートも受け入れ、充実した支援が快記録の原動力となった。

 2大会ぶりの五輪はコロナ禍で開催が約束されたわけではない。「みなさん傷ついている。どれだけ国民と寄り添えるか。(開催されれば)みなさんの助け舟になれたら」。アスリートのあるべき姿も模索しながら、来夏を見据える。【新井隆一】

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