どうなる!?沿道応援NGの箱根駅伝。観客応援が与えるランナーへの影響

引用元:VICTORY
どうなる!?沿道応援NGの箱根駅伝。観客応援が与えるランナーへの影響

 来年1月2、3日の箱根駅伝は“無観客”での開催を目指している。新型コロナウイルスの感染拡大によって、主催する関東学生陸上競技連盟は11月5日、ファンへ向けて「今回はテレビなどを通しての応援を頂ければと思います」との声明文を発表した。また大学関係者、応援団、選手の家族らにも沿道の応援を「強く自粛を求めます」とした。もしも箱根でクラスターが発生するようなことになれば、今後の大会運営に大きな影響が出る。だからこそ、強いメッセージ性の込められた発表だった。

 筋書きのないドラマは必ず感動を生み出す。毎年、沿道には2日間で100万人以上が集まる。もはや国民的なイベントであるだけに、実際には完全な無観客の開催は無理だろう。11月1日の全日本大学駅伝など、他のロードレースも、沿道には人の姿がちらほら見られた。

 今、選手を鼓舞する声は禁じられ、ファン同士で集まるのも「密」だと“悪者扱い”される。スポーツ観戦の在り方も大きく変わった。ただ、感染状況を考えれば仕方ない。沿道に人が少なくなることは、残念である。とはいえ、それによってレースが盛り下がることはないと強調したい。特に箱根は。

 事実、箱根と同様に沿道での応援自粛が促された全日本大学駅伝は、アンカー勝負、しかも残り1・3キロまでもつれた。空前の大激戦、歴史的な一戦とも言われた。そこに「つまらない大会だった」とケチを付ける人間など、ほぼいないだろう。

 当たり前であるが、主役は選手である。その主役たちは今年、レースを走り終えた後、口をそろえて、こう言う。

 「このような大変な状況の中、大会を開催していただき、本当にありがとうございました」

 新型コロナウイルスによって、多くの大会が中止に追い込まれた。全日本大学駅伝、箱根駅伝とともに「大学三大駅伝」の1つに数えられる出雲駅伝もそうだ。大きな舞台も容赦なく、奪われた。走るというごく当たり前のことが、そうでなくなった。練習も人の目を気にしながら。スポーツ活動が制限される中、「走る事の意味」を考えさせられた選手も多いとも聞く。自分の中に少しずつ答えを見つける中で、自然と意識も高まっていく。だから、春、夏に十分な練習はできていなくとも、好記録を出しているランナーが多い。

 全日本大学駅伝でも6年ぶり13回目の優勝を果たした駒沢大のタイム5時間11分8秒は大会新記録だった。箱根駅伝予選会も、順天堂大の三浦龍司(1年)が1時間1分41秒で、大迫傑(ナイキ)が持っていたU20のハーフマラソン日本記録を6秒更新するなど好記録が続出した。箱根駅伝予選会はフラットな陸上自衛隊立川駐屯地の周回コースに変更された恩恵も大きいが、決してそれだけの産物ではない。走る事に飢えた選手が、与えられた舞台で躍動している。走る喜びを再認識しているのだ。

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