箱根連覇目指す青学大 コロナ禍の異例方針と部員の葛藤、主将の決断

箱根連覇目指す青学大 コロナ禍の異例方針と部員の葛藤、主将の決断

 今季の大学駅伝シーズンの初戦となる全日本大学駅伝が11月1日、名古屋市の熱田神宮西門前から三重県伊勢市の伊勢神宮内宮宇治橋前の8区間106・8キロで行われる。

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 今年の箱根駅伝で総合優勝を果たし、今大会でも優勝候補の青学大を引っ張るのは、熊本・九州学院高出身の神林勇太主将(4年)だ。チームはコロナ禍でも徹底した感染症対策を行って寮生活を続けてきた。異例のシーズンを乗り越え、箱根連覇へ好スタートを切る。 (伊藤瀬里加)

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寮でコロナ対策

 本格的に始まる駅伝シーズンを前に、箱根の王者の調整ペースも上がってきた。3日にあった5000メートルの記録会では、青学大の部員11人が13分台の好タイムをマーク。「最終的には例年の強い青山学院の雰囲気というのができあがっているなと思う」。神林は安堵(あんど)の気持ちを口にした。

 青学大陸上部長距離ブロックは、部員47人が二つの寮に分かれて集団生活を送る。緊急事態宣言が出された4月上旬、部活動禁止の措置を取る大学が増えた中で原晋監督は「寮に残って全員でコロナを乗り切る」と提案。残る理由、生活ルールなどが細かく記された文書を部員に渡した。

 選手の大半が解散を予想していただけに「どうして(地元に)帰してくれないのか」といった声も上がった。神林自身も「もし感染者が出たら」と不安があった。それでも、原監督から説明を受け、納得して決断した。

競技は大学まで

 極限まで体を絞り、風邪をひきやすい長距離選手は日頃から体調管理を徹底している。うがい、手洗いは当然で、検温や厳しい外出制限も課した。周辺住民への配慮として、普段は寮とグラウンドを走って往復するが、一時期は分散しての自転車移動に切り替えた。神林が「これで感染したら仕方ない」と振り返るほどの対策ぶりだった。

 体力面でも追い込みをかけ過ぎず、練習量は例年の8割程度にとどめた。下級生のストレスを考慮し、原監督は上級生に例年以上の配慮も求めた。「いつもより雰囲気が緩いというか…。もっとこうするべきだと思ったけど、我慢した部分があった」。神林も葛藤や焦る気持ちを抱えながら、チームを束ねてきた。

 来年1月2、3日の箱根駅伝本戦は通常コースで無観客の開催を目指している。今年は大勢の観客が訪れる9区で区間賞を獲得した神林。応援のない寂しさはあるが、中止や代替試合も覚悟していただけに「ありがたい。あのコースを走るから箱根駅伝」と感謝する。

主将として覚悟

 卒業後は陸上を続けず、大手企業への内定も決まっている。「箱根駅伝を走りたくて陸上を始めた。最初から最終目標は箱根駅伝だった」と語る舞台は競技人生の集大成だ。「陸上を始めて10年目になるけど、(残りは)本当に片手で数えられる試合数。駅伝は二つしかない。それもまた、主将としてチームの主力として臨む駅伝になる。すごく大切な、大切な試合になると思っている」。覚悟の激走を披露する。西日本スポーツ

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