<アスリート交差点2020>再現力 故障と好走は紙一重 勝負の年への試行錯誤=陸上・山県亮太

引用元:毎日新聞
<アスリート交差点2020>再現力 故障と好走は紙一重 勝負の年への試行錯誤=陸上・山県亮太

 今季は応援していただいている皆様に不安を抱かせる結果となりました。1年3カ月ぶりの復帰レースとなった8月のセイコー・ゴールデングランプリの男子100メートルは10秒42で予選落ち。その後も、9月の全日本実業団対抗選手権と10月上旬の日本選手権は右膝の故障で欠場と、満足のいく走りを見せることはできませんでしたが、来季へ向けて気持ちは非常に前向きです。目指す走りの方向性が見えているからです。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大会が中断されていた6月ごろは良い走りで、スピードを上げることができており、自分でも手応えを感じていました。筋力を増やすことにこだわって背中を痛めた昨季の反省を生かし、今季は身体の使い方を以前とは変えたところ、重心移動がスムーズになり、推進力が高まりました。

 しかし、良い走りができている分、体には大きな負担がかかります。7月上旬ごろから右膝にきしむような痛みが出て、練習を中断しました。8月のセイコー・ゴールデングランプリは自己ベストから0秒42遅れてしまいましたが、直前の状態から考えても想定内の結果でした。

 その後、全日本実業団対抗と日本選手権へ向け、急ピッチで状態を上げようと練習をすると、また膝の状態が悪くなりました。無理をして大きな故障を起こせば東京オリンピックの行われる来季に影響しかねない。このため、欠場を決めてそのままオフシーズンに入りました。

 昨年11月、米フロリダ州での合宿中に不注意から右足首をひねって靱帯(じんたい)を断裂しましたが、違和感は全く残っていません。体の構造に多少の変化が出たことは事実で、右膝の故障との因果関係を完全には否定できませんが、別の理由が大きいと考えています。

 28歳になりましたが、年齢による体の衰えは感じていません。むしろ、年々、走りのパフォーマンスのレベルが高まり、練習での体への負荷も上がっていることが故障のリスクになっていると思います。今回の膝の故障もそうだと考えています。どのように故障を防いで来季を迎えるか模索しています。

 昨夏からお世話になっている理学療法士の先生に施術をしていただき、今まで使えていなかった筋肉を動かせるようになりました。まだ具体的に明かせませんが、故障防止に加え、走りの動きを高めることにもつなげる狙いです。

 ほぼ2年間結果を残せていませんが、不安はありません。故障さえ回避できれば、9秒台を出せる手応えがあるからです。皆様の不安を一掃するには、復帰して結果を出すしかありません。これまでもコーチをつけず、自分自身で試行錯誤を重ねて成長してきました。勝負の年へ向け、最適な答えを探しながら冬場のトレーニングに励みます。(あすは卓球・伊藤美誠です)

 ◇山県亮太(やまがた・りょうた)

 広島市出身。2015年4月、セイコーホールディングス入社。16年リオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダル。18年ジャカルタ・アジア大会100メートルは10秒00で銅メダル。28歳。

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